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次世代フロッピーディスク

■ 更新履歴
2003/08/17 新規登録
2003/08/31 Bドライブの次は?

■ フロッピーディスクは古いのか?

 アンタのPCにフロッピーディスクドライブは付いてるかね?
 起動ディスクを使ったことがあるかね?データを保存したことがあるかね?

 昔からFDにお世話になっている人は慣れちゃってるけど、いい加減に進化しないのか?

 FDといったら…

  • 容量が少ない
    1.44MBってなんだよ?
    デジカメ(500万画素)の写真1枚さえ入らない…。
    あらゆるメディアが大容量化するなか、相変わらずMBオーダー。
  • 超遅い
    ちょっとしたファイルのコピーに10秒。
    FD1枚に書き込めば1分。
    ADSLでダウンロードするより遥かに遅い。

 これらの問題を解決するために、各企業は様々な新メディアを提案してきた。…が、ことごとく失敗した。

メディア 開発元 独断と偏見コメント
ZIP100 iomega
アイオメガ(iomega日本法人)
 当初はパラレル接続という接続性からか、海外(アメリカのみ?)ではそれなりに普及したデバイス。同時期にSCSI、その後PCMCIA接続やUSB接続も登場している。
 妙にカタカタ言い、微妙に丸みを帯びて上に物が置けない筐体。1万円チョットという本体は、お金が無い学生にちょうど良かった。
 3.5"FDと形状に互換性は無い。100MB(後に250MB/750MB)の中途半端な容量に、中途半端なアクセス速度。相変わらず素の磁気メディアで、品質はFD程度と思われる。転送速度は700KB/sec程度。 
SuperDisk
(LS-120)
調査不足につき不明  3.5"FDと上位互換のメディア。よって今までの3.5"FDのメディア読み書きも可能である他、旧メディアを32MBにフォーマットすることもできる。
 専用メディアを使用した場合は120MBの容量を実現。600KB/secの転送速度を誇る。
 良いこと尽くめに思えるが、専用メディアのフォーマットに90分かかった…と聞いたことがある。真偽は不明だがCD-RWの初期化並だ。
 当初は内蔵ドライブとして登場し、IDEとSCSIがあったと思う。
 ZIPより普及していない。が、多くのBIOSの起動ドライブ設定では、ZIPと並んでLS-120の文字も見える。

参考URL:
LK-RF240UZ(Panasonic)のレビュー
次世代記憶デバイス「LS-120」

 なぜ失敗したのか?その敗因は『あまりにも普及したFDを置き換えようとした』ことにあると思われる。(FDは世界規模で普及している)

 今日でこそ雑誌の付録はCD-ROMやDVD-ROMだが、当時はまだまだFDが多かったし、OSの『起動ディスク』に至っては今でも存在する。メーカは、この現実をもっと検討すべきだったのだろう。


■ 新しいFDD

 一番最初に『容量が少ない』と書いたが、前章で判明したようにフロッピーというメディア(FD)を置き換えるのは非常に困難である。
 では何ができる?

 そう…もう一つの問題点であった『超遅い』を克服することだ。これであれば、メディア(FD)の互換性を保ったまま実現することができる。

 そして2002年6月に登場したのがY-E Dataの2倍速FDDを採用したロジテックのLFD-31U2であり、2003年の8月には同4倍速FDを採用した(と思われる)アイオーデータのUSB-FDX4である。


■ FDDベンチマーク

FDDの写真 さて前述のN倍速を使用してベンチマークを行なって、実際のところ何倍速のスループットが出ているかを確認してみよう。
 …と肝心の1倍速FDとして、ThinkPadに付属してきたドライブを用いることにした。
 それぞれのドライブに付いての情報を下に、写真を右に掲載する。写真では表と逆順に積み上げてある。

呼称 品  名 公称速度 I/F 価格
1x IBM External USB Floppy Disk Drive(P/N:05K9283) - USB 1.1 \4,619
2x 2倍速対応 USB外付型FDユニット(LFD-31U2) 2倍速 USB 1.1 \5,979
4x USB 1.1対応- Floppy Diskドライブ-X4倍速(USB-FDX4) 4倍速 USB 1.1 \7,679
価格は、2003年8月17日のTSUKUMOネットショップを参考にした。
また1xのP/N:05K9283は該当商品が見当たらなかったため、同機能であろう格安のドライブNEC PC-VP-WU14の価格を掲示した。ブート可否等のスペックについては、必要に応じて確認して欲しい。

 なおベンチマークに使用したPCはThinkPad 240Z(2609-81J)で、OSはWindows 2000 Professionalである。
 では、実地試験を始めよう。


A.フォーマットに要する時間の比較

 まずは手身近にFD全体をアクセスできるフォーマットを実施してみた。コマンドプロンプトより以下のコマンドを実行し、ストップウォッチで計測を行った。
 計測開始タイミングはコマンド実行時。計測終了タイミングはフォーマット後にFDDのモータが停止するまでとした。
 途中ディスク挿入を求めるメッセージが表示され、ユーザのキー入力待ち状態となる個所がある。可能な限り早くエンターを押したが、1秒程度の誤差を考慮して見て欲しい。

フォーマット時間(グラフ)
FORMAT.EXEによる比較較
ドライブ 所要時間 N倍速
1x 125秒 1.0
2x 63秒 2.0
4x 40秒 3.1

 2xではキッチリと2倍速が出ているが、4xでは3倍速ちょっとである。
 なお、4xのパッケージには『通常フォーマット約60秒!』とあるが、それよりも短い時間で済んでしまった。というか、60秒も要しては2xと変りが無くなってしまうのでは?…と思う。


B.HDBENCH

 お決まりのベンチマークソフト、HDBENCHを用いて計測を行った。

HDBENCH Ver 3.30 - 1MB
ドライブ Read Write Copy 合計 N倍速
1x 27 23 29 79 1.0
2x 59 50 39 148 1.9
4x 111 85 62 258 3.3

 Readではほぼ宣言どおりの速度が出ている…が、Write/Copyでは今一つ奮わない結果となっている。多分スピンを高速化できても、シーク速度の高速化には限界があるのだろう。


C.Multi Thread Disk Bench

 Multi Thread Disk Bench その0.3.5.7をシングルスレッドで計測。パラメータはデフォルト値を使用した。

Multi Thread Disk Bench(グラフ)

 やはりシーケンシャルアクセスについては十分な速度が出ているように見受けられる。ランダムアクセスについてもある程度の高速化が見られるが、これがシーク速度の高速化によるものなのかは不明だ。

 一応マルチスレッドで高負荷をかけたテストも行ったのだが、どれも2KB/sec程度の結果となったため記載はしていない。まぁフロッピー相手に同時アクセスすることは少ないので問題は無いだろう。


D.モータ停止時間について

 cygwinの'dd'コマンドを使用して、ディスク全体への書き込み時間を計測した。

実行コマンド time dd if=/dev/zero of=/dev/fd1 bs=1
ドライブ 実行時間 N倍速 ディスク停止まで 停止待ち おまけ
1x 54秒 1.0 57秒 3秒 1x.mp3
2x 28秒 1.9 31秒 3秒 2x.mp3
4x 19秒 2.8 22秒 3秒 4x.mp3

 ここでのポイントは、ディスクアクセスが終わってからモータが停止するまでの時間だ。結果はどのドライブでも同じ時間であり、結果として高速なドライブほど体感時間を長く感じてしまう。
 これは、どんな小さなファイルをアクセスしても+3秒を要することを意味しており、折角のアドバンテージがもったいなく感じる。何とか改善できないものだろうか?


E.実際の使用におけるターンアラウンドタイム

 前の項目において、モータの停止待ち時間が各ドライブで同じであることが判明した。この問題点は、小さなファイルをアクセスするほど顕著に表れる。
 この項目では、頻繁に使用される範疇に入るであろう100KBのファイルをコピーして、モータの停止までを計測した。

ドライブ 停止まで N倍速
1x 10秒 1.0
2x 7秒 1.4
4x 6秒 1.7

 どうであろうか?モータの停止待ち時間が大きなネックになっているのがわかる。
 多分テキストファイルやソースファイル等のもっと小さなファイルにおいては、更に『発揮できないドライブ』になってしまうだろう。


■ 総評

 CDドライブやDVDドライブが高速化し続けるように、やっと高速化をはじめたフロッピーディスクドライブ。

 最初の方で掲示した参考価格を見ても分かるように、極端な価格差はない。しかし利用機会が減りつづけるメディアに対して、数千円の差額を払う価値があるのか?…とも考えられる。

 現状ではUSBモデルしか目撃したことが無く、デスクトップへの普及はしばらく望めないだろう。
 また多くのノートパソコンでは標準付属していることが多く、わざわざ高速FDDを購入するとも考え辛い。

 物足りない容量、かつあまり使われることの無いドライブが高速化したところで、どれほど嬉しいだろうか…とも考えてしまう。
 もし各PCメーカーから標準品として供給し、旧モデルとの価格差が数百円程度であれば普及するだろう。

 高速FDDを買う理由、それはネタと自己満足のためだ。


■ Bドライブの次は?

 IBM PC/AT互換機を使っている人にとっては、FDDといえばAドライブと決まっている。そしてハードディスクはCだ。
 僕みたいにノンUSB のFDDが標準付属しているノートPCを持っている人は、出先で借りたFDDがBドライブに割り当てられたこともあるだろう。
 まぁ言いたいことは、FDDはAとBに決まってるぜ…ということだ。

 しかしマウスがPS/2からUSBに移行したように、FDDもUSB式が一般的になりつつある。
 そして、USBになったということは、3つめのドライブを接続できることを意味するのだ。

 そこで、どこぞでマウスを沢山取り付けたように、今回はFDDを複数個つなげてみた。

 なんかつまらないね…。(^^;

 一応、全てのドライブに同時アクセスしてみた。

 これも、あまり楽しくないね。(^^;

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